【犬の味覚】犬はどこで味(美味しさ)を感じているのか?
犬の祖先はオオカミで、食べていたものは雑穀ではなく野生の小動物です。そのため犬は本来肉食なのですが、人間のペットとして飼われるようになり、生活習慣が変わったことで食生活も変わってきました。
肉(タンパク質)以外にも、炭水化物・脂肪・ビタミン・ミネラルなどいろいろな栄養素をとることで犬の寿命も劇的に長くなりましたが、だからといって人間と同じ食べ物を与えていいわけではありません。
人間が大丈夫な食材でも犬には毒性のもの(例えば玉ねぎ、チョコレートなど)があるし、そもそも人間の味付けは犬には濃すぎるからです。
「味付けが濃すぎる」と言うように、犬も食べ物の美味しさ、味の濃い薄いを感じることができます。ですがそれは、舌(味覚)で感じているわけではないんです。
犬の五感の割合
犬にも人間と同じように「視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚」の五感があります。ただし頼る割合は人間とは大きく異なります。
人間は視覚が80%以上
人間は視覚に80%以上を頼っています。
目から入ってくる情報でほとんどを処理しています。料理も見栄えがよければ美味しそうに感じるし、綺麗な花を見ればいい香りがするような気がしますよね。
視覚で大まかな情報を捉え、それに付随する味覚や嗅覚の情報を足して正確性を向上させて処理するのが人間です。
犬は嗅覚と聴覚
犬は嗅覚が40%、聴覚が30%、視覚が20%、その他の2つで10%くらいです。もっとも頼っているのが嗅覚(ニオイ)で、次が聴覚(音)です。
視覚は意外と鈍い
犬は動くものを捉える動体視力は優れていますが、近くのものを細かく見極めることは苦手です。また、赤い色が見分けにくいなど、色の判別も人間ほど得意ではありません。
ちなみに、犬は夜(暗いところ)でも目が見えると言われたりしますが、ちょっとそれだと表現が違います。確かに暗闇でも人間よりは見えるのですが、昼間ほどハッキリ見えるわけではありません。
じゃあ、なぜ暗闇でも動けるかというと、もともと視覚にそれほど頼っていない(嗅覚や聴覚で補っている)ため人間からすると「見えているように見える」だけです。実際の視覚のみだと「何となく見えている」に過ぎません。
ニオイで美味しさを判断している
犬の嗅覚は人間の70倍の能力があると言われています。ニオイで情報を察知したり、物の位置・距離感などもある程度判断しています。
そして、食べ物の美味しさも嗅覚(ニオイ)で判断しています。味覚が発達していないかわりに、脂肪分のニオイで食べ物が美味しいかどうかを判断しています。
そのためドッグフードでも、良質な脂肪分が使われているフードを好んで食べます。
犬の「まずい」は体に悪いということ
人間は毎日同じものを食べていれば飽きてしまいます。どんなに脂っぽい焼き肉が好きだからといって、365日同じだったらたまにはアッサリしたものを食べたいときもあるでしょう。
ですが、犬は同じ食事・同じ味付け・同じフードで飽きるということはありません。
犬は究極「美味しい」か「まずい」しか判断できません。そして、まずいものは体に何らかの害があるものだと本能で判断します。体の機能を壊すもの・うまく消化できないもの・毒物を「まずい」と判断します。
そのため、野生の中では「食べ物の味(正確には味覚と嗅覚)」で、自分の体調管理ができてました。
犬は苦味(にがみ)が苦手
犬は苦味(にがみ)が苦手です。本能的に「にがい=体に悪いものが多い」と判断しているからでしょう。
にがみが苦手な習性を利用して、しつけのための苦味スプレーがあります。甘噛や家具をかじってしまう子犬のしつけとして、噛んではいけないものに苦味成分のスプレーをかけることです。
これは一定の効果があるのですが、あまりかけすぎるとさすがの犬でも感覚が慣れてしまい段々と効果がなくなってきます。子犬のうちにしっかりしつけておきましょう。
最大の問題は「塩分」
犬は苦手な味で危険を察知するといいましたが例外があります。それが塩分(しょっぱい)です。
塩分は体には欠かせないものであると同時に、非常に強力な毒でもあります。人間も同じですが、塩分の摂りすぎは体の健康を損ねるし、一度に大量に摂取して死に至る「致死量」もそれほど多くありません。
それほど有害な塩分ですが、厄介なことに、人間を含む他の動物と違い犬は塩分には鈍感です。人間なら少しのしょっぱい薄いも判断しますが、犬はどんなにしょっぱくて体に悪くても「美味しい」と勘違いしてどんどん食べてしまいます。
人間の食事は人間にはちょうどよい塩分量でも犬にとっては有害な量です。与え続ければ、確実に肝臓や腎臓など重要臓器の疾患・病気につながります。
ドッグフードを食べたことがある方はあまりいないと思いますが、モグワンなどのヒューマングレードのプレミアムフードなら人間も問題なく食べられるので試しに食べてみてください。ほとんど味(塩分)がないことがわかると思います。犬にはそのくらいの塩分量がちょうどいいんです。
飽きて食べないのは飼い主の責任
よく「ドッグフードに飽きてしまって全然食べない」という飼い主がいますが、それはほとんどが飼い主の責任です。
- 人間の食べ物を与えてませんか?
- 犬用でもおやつを頻繁にあげてませんか?
- ドッグフードを与える時間がまちまちじゃありませんか?
前述しましたが、基本的に犬は味(美味しさ)に飽きるということはありません。ただし、美味しさ(ニオイ)に関する記憶は優秀で、一度ドッグフードより美味しいものを食べてしまうと、そちらの美味しい味を覚えてしまいます。そして何回も与えてしまうと、もうドッグフードを食べません。
ドッグフードを飽きて食べないというのは、他の美味しさを知ったからです。
ドッグフードの食いつきが悪い犬でも、それしかなければ放っておいてもお腹が空けば食べます。
ただし、年齢によってドッグフードの得意・不得意も変わってきます。人間の食べ物を与えたりおやつを与えたわけでもないのにドッグフードを食べないときがあります。また、病気や体調不良などで食べないときがあります。そういったときはドッグフードを変えたり・ふやかすなどの工夫は必要でしょう。
体調が悪いときの食事については以下のページで詳しくまとめてあります。興味がある方はご参考にしてみてください。